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【心理学実験】「部下との接し方が分からない」上司の悩みに対する心理学的な回答

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マネジメントの悩みで多いのが、部下への接し方です。年齢差もあるしどう接したらいいか分からないという悩みを抱えている管理職はとても多いものです。

 

よく言われるのが、「部下に期待し、褒めて伸ばそう」というマネジメントです。叱るのではなくて、仕事の結果だけでなく過程や姿勢を含めて、部下のいいところを褒めよう。だいたいそんな内容です。

 

でもそうは言っても褒めるのも難しいし、実際にそれが正しいのかどうかも分からない。そう言える根拠はどこにあるのか、とモンモンとしている「なぜタイプ」のマネジメント層も多いんです。

 

そこで今回は、「人に期待をかけたらどうなるのか」を調べた心理学実験をご紹介します。

 

実験内容

実験が行われたのは1964年なので結構古い実験です。場所は、サンフランシスコの小学校です。

 

生徒には、知能テストを受けてもらいました。

 

クラス担任の先生に対しては、「今後数か月間で成績が伸びる生徒を割り出すためのテストである」と伝えてあります。

 

その後、実験を行った側で無作為に生徒を選び、その生徒たちが成績が伸びる子たちだと先生に伝えました。ポイントは、知能テストの結果の優劣で選んだのではないという点です。

 

数か月後、その無作為に選ばれた子たちの成績が伸びるという結果になりました。知能テストが優秀だったから選ばれた生徒ではなく、適当に選ばれた生徒たちの成績が上がったのです。

 

先生たちは事前に「この子たちは伸びる」と聞かされているため、意識、無意識に関わらず、生徒に期待することになります。言動や行動にもそれが表れます。

 

先生が接している子供たちにも、周囲から期待されていることが伝わります。先生が期待をし、その期待を受けた子供たちがよい結果を出しました。もともと持っている能力は関係なかったのです。

 

人は期待された通りになる

この実験結果から、「人は期待されている結果を生み出しやすい」という「ピグマリオン効果」が提唱されています。

 

逆に、「お前たちはなんてダメな人間なんだ!」と蔑まれながらであったら、成績は上がることはなかったでしょう。なぜなら、その場合は「ダメな人間であることが期待されている」からです。

 

ピグマリオン効果は、子供だけでなく、大人にもあてはまります。この実験では子供が被験者となっていますが、職場でのコミュニケーションにおいても「期待していることを伝える」、つまり「褒める」ことが重要だと考えられるわけです。

 

もし仮に、日々上司からけなされる職場だとしたら、働いていても楽しくないですし、やる気が出る環境になるとは思えません。

 

でもだからといって偽りの期待はダメです。おべんちゃらは相手に通じてしまいます。褒めることそのものよりも、どう褒めるのかが大事です。

 

まずは一人の人間として認めることから

より具体的に褒めるためには相手をよく観察しなければなりませんから、「部下の長所を探す」ところから始めてみるといいでしょう。

 

褒めることよりも、その部下の仕事ぶりをきちんと見てあげてください。それが「ひとりの人間として認めている」メッセージにもなります。

 

部下の上司に対する気持ちもかわってくるでしょう。めぐりめぐって職場の人間関係にもいい影響をもたらしてくれるはずです。

 

無理して褒めようとするのではなく、部下を一人の人間として認めることが、よい結果をもたらす期待につながります