【コミュニケーションのコツ】アナウンサーはなぜ、右耳を使って人の話を聞くのか
今日の報道ステーションで富川アナウンサーが面白いことを言っていました。
「右脳を使うために左耳を意識的に使うようにしている」
囲碁の井山佑太六冠が七冠を達成したニュースを取り上げていたときの発言です。井山六冠は囲碁を使うときに意図的に左手を使っているそうなんですね。そのエピソードとともに、富川アナ自身も右脳を使うようにしているという話を披露していました。
番組内では「右脳を使うために」としか触れられていなかったので、あえて意識的に左耳を使う理由を探ってみたいと思います。
右耳は左脳
まず、前提となるのが脳と身体の部位の関係です。左脳は身体の右側、右脳は身体の左側をつかさどります。右と左がクロスします。
右脳⇔身体の左側(左目、左耳、左手、左足)
左脳⇔身体の右側(右目、右耳、右手、右足)
脳の機能は、右脳と左脳で分かれています。ざっくり言うと、右脳は「感覚」「直感的思考」で、左脳は「言語」「論理的思考」を担うとされています。
左耳を使うということは、右脳を使うこととイコールなので、右脳の働きを見ていくことにしましょう。
出典:脳の構造と機能
人の話を聞いてくれるやさしい右脳
右脳の働きは、「情緒」や「情動」、「感情」に関係しています。人の話に共感しながらじっくりと聞くのには右脳の働きが必要です。右脳は、言ってみれば「頷きながら人の話をよく聞いてくれるやさしい性格」なんですね。
耳で人の話を聞くと、情緒に関連する右脳が刺激され、その人の言葉に寄り添うことができます。人の話を聞き出すアナウンサーには必要不可欠なスキルです。
人の話に共感できなければいいインタビューなどできません。富川アナウンサーはおそらく、このことを意識しているのではないでしょうか。
左脳はちょっとつめたい
では、その逆に人の話を聞くときに右耳・左脳を重視するとどうなるでしょうか。
左脳は「論理的思考」や「分析」をする際に働きます。感情をはさまずに理屈が先に来るんです。
人の話に共感するというよりも、内容をそのまま受け取って自分がどう思うか、論理的にジャッジをくだしてしまいます。
右脳のようにその人に寄り添って共感する・・・のではなく、「つまらないものはつまらない!ダメなものはダメ!」という感じです。
どちらかと言うと「つめたい」イメージかもしれません。
こう考えると、アナウンサーに限ったことではなく、人と向き合い傾聴するべきときには右耳を使うのがよさそうです。
そして、これらの右脳と左脳の違いを踏まえると、場面場面で重視すべきのはどちらなのかがわかります。
右耳を使ったほうがいいケース
- 外国語のリスニング学習。言語機能をつかさどっている左脳を刺激することで言語習得が進みます。
- 交渉の現場では右耳。左脳への刺激によって論理的に考えられるようになります。
左耳を使ったほうがいいケース
- 冷静にならなければならない場面。たとえば、クレームの電話対応。左耳をあてて電話で出ればクレームを論理的に捉えることなく落ち着いて対応できます。
- モノをつくったり考えたりするときに、スピーカーを左に置いてBGMをかける。右脳の創造的な力が刺激されます。
この違いを知っておくと、ビジネスパーソンの日常にも役立ちそうですね。
まとめ
右脳は「感情」、
左脳は「論理」。
「人の話に頷く聞き上手」な右脳、
「理屈が先に来るキレもの」な左脳。
どちらがアナウンサーに適しているかは明白でしょう。コミュニケーションを生業とする富川アナウンサーが「右脳を使うために左耳を使う」というのはとても理に適った話だったんです。
*1:一言一句このままの言葉ではなかったかもしれませんが、このような趣旨の発言でした。